扇風機の鉄道模型ブログ

作った模型のメモとか。役に立たないよ。

国鉄 モハ72偶数車の初期修繕車を作る!

こんばんは。

f:id:Marukyu:20230715003327j:image

国鉄モハ72偶数車のうち、初期に修繕されたグループを作ってみました。

プロトタイプはモハ72144。1963年ごろの京浜東北線や山手線の編成にいれる用に作りました。

こいつらの特徴は、なんといってもパンタの位置。モハ72の偶数車のうち63形タイプのやつは、モハ63の偶数車から改造されたので、もともとパンタが偶数側にあり、ドアも反対向きに開きます。その中でも初期に修繕されたグループはパンタが偶数側にあるままなので、編成に入れるとモハ72同士でパンタが向かい合ったり、逆にパンタが両方外側に来たりする訳です。これは面白いのですが、なんといっても問題は、車体を逆さにするんじゃダメで…配管の向きも鏡になるんです。配管が反転する訳です。正面から見て空気作用間が右、母線が左って事です。まあ偶数車なので当たり前ですが…

これを手持ちのジャンクのモハ72から作ります。

当然配管の引き直しになるんですが、中間車ごときにこんな手間かけられますか?

 

当たり前ですね。基本です。

早速配管を削って引き直していきます。

f:id:Marukyu:20230715003240j:image

母線は0.4真鍮線、空気作用管は横着してタヴァサの一体タイプのやつを、割りピンでつけます。

屋根は全部削りますが、車体側は雨樋などを残して削るのが面倒だし、そもそも連結位置なので、軽くもとの配管を削って、その上から引きます。
f:id:Marukyu:20230715003228j:image

引き終わりました。配管をつなげるかの問題なのですが、空気作用管は車体と屋根の境目、母線は屋根のちょっと行ったとこで分けてます。屋根は外れた方がいいと思います。

ついでにパンタ台も2足タイプのやつに変えます。

f:id:Marukyu:20230715003231j:image

屋根を塗ってみました。質感、こんな感じでしょうか?

車体側は横着して妻面だけ塗りました。
f:id:Marukyu:20230715003237j:image
f:id:Marukyu:20230715003225j:image

特徴的な床下機器も再現。配管だけではなく床下も変わります。床下はサハ78の床板から、GMの床下機器を使い改造しました。GMの床下機器、結構リアルでいいですね。いいです。

抵抗器が寄ってたり、界磁接触器が制御器の左にあるのが新鮮で好きです。

床下はつや消し黒で塗装後光沢のクリアを吹きました。

モハ72144がプロトタイプで、屋上や床下も72144と同じようにしてみましたが、モハ72100にしました。キリ番だし。ちなみにモハ72100はパンタ台等が違います。

さて、肝心の配管部分です。

薄めのグレーで塗り分けました。割といい気がします。

f:id:Marukyu:20230715003302j:image

ちなみに避雷器はkatoのassy、パンタ台は銀河だかのパーツです。
f:id:Marukyu:20230715003234j:image

屋根は1か所だけ、パッチワークみたいなのを表現してみました。どうでしょうか?個人的に、国電にはまった理由は、昔の人工物ってのが大好きだからです。勿論、廃トンネルや廃道、廃墟、廃坑も大好きです。そして何とも、音やスタイルがいいことこの上ない。自分の好みに直撃した訳です。そんな中で、1960年台といえば、日本の高度経済成長の時期。毎日毎朝毎晩、車両には詰め込まれないほどの大量の労働者が詰め込まれ、電車は飾り毛も大してなく(元々はあっても、更新修繕で全部似たような地味な見た目にされてしまいました…)、勿論彼らはピカピカではありません。鉄粉やスパーク汚れ、ほこりに汚れている訳です…そこに魅力を感じます。しかも、そんな中でも1両1両に個性があり、1両として同じ車両はいない…とまでは行きませんが、いろんな車両が、たくさん繋がってるわけです。そんな彼らの、ただ走って、国を支えるという感じが、大好きです。優美な飯田線クロスシート車や、鮮やかなご当地色に塗られた3ドア車、グリーン車を従えた12両で走る横須賀線の70系…それもいいですが、それより前の東京の通勤電車というのも、また趣があって良いわけです。

でも僕は、もちろんその時代を知りません。ニュース映画や、写真で、当時の様子を知るだけです。そして、それをある意味、日本の歴史の記憶から、消え去ろうとしているそれを、絵や模型として新しくこの世に再び映し出し、それを鑑賞しようというのが、鉄道模型なわけです。勿論僕にはそんなに技能はないですし、完璧な模型というのは作れません。でも、自分の想像する通りにできれば、それはある意味完成なのではないかと、僕は思います。もちろん、実車と色や形が全然違うとか、そんなのは論外ですが、それでも表現というのは人それぞれです。そんな中で、自分は国電に対して何を思うかって事です。自分は、国電の、いわば人を運ぶためだけに造られ、国や経済、そしてもちろん鉄道も支え、最終的に、自分を作り出した、そして自分が運んで捧げてきた人類によって壊される…そんな生き方に、美学というか、そんなものを感じて、惚れた訳です。

その美しさは、横須賀型や湘南電車、こだま型、寝台特急、新幹線等のそれとはまた違い、国電や汽車貨物だけが持つ、存在としての美しさなのです。

では、その美しさを模型に当てはめるとどうでしょうか?

僕がもし、「こだま」を「美しく」作れと言われたら、優雅な内装を有した食堂車やグリーン車、パーラーカーをつなげた豪華な12両編成に、車体には鮮やかな特急色を塗り、仕上げには車体や床下、台車まで容赦なく光沢のクリアーコートを吹き、まさにみんなの憧れの的であり、国鉄の最新鋭の特別急行である、ピカピカのこだま号を作ろうとするはずです。汚れなんて一つも入れません。だって、それは失礼じゃないですか?

では、「荒廃した戦後混乱期を駆け抜ける、ロクサン型の大宮行き限界通勤電車」を美しく作れと言われたならどうでしょう。

自分は、多分容赦なく屋根をすすけた色で塗装し、錆やスパーク汚れを垂らし、迷わず赤サビを吹き付け、窓を曇らせ、靴ずりを汚し、少しくすんだ茶色の車体に、乗客を満載した、それを作るはずです。逆にあえてここで、屋根や車体を汚れひとつつけずピカピカに塗装したりしたら、それはロクサンの美しさではない訳です。さっきの特別急行の例とは違い、こっちの国電では、汚れが逆に美しさとなる訳です。

こういう訳で、自分は車両にウェザリングを施したり、このようにパッチワークを表現したり、靴ずりを汚したり、煤けた色にしたりする訳です。

長くなりましたが、最後に。さっきの例のロクサン型国電の中に、もし優美な張り上げ屋根と、全溶接車体を有した、戦前型3ドア半流国電のモハ60が入ったら、どう仕上げるかについてですが、多分他の車両は変わらず汚しますが、モハ60は屋根をきれいなライトグレーで塗り、あざやかなぶどう色を吹き、かっこいい砲弾型前照灯をつけ、車体全体に光沢塗装をし、1両だけ、ピカピカの半流国電にすると思います。

少なくとも、この優美な戦前型においての美しさは、こだま型特急と同じ美しさだと、ぼくは思います。

 

これで本当に最後になりますが、なぜこのモハ60の例を最後に書いたかというと、いまモハ11400の、更新修繕前の仕様、つまり優美な張り上げ屋根の戦前型を作ろうとしているのですが、それをどう塗装するかに大きく関係するためです。いま、塗装前の段階まで完成しているのですが、さっきまで、汚すか汚すまいか迷っていました。

結論は、汚さずにピカピカのモハ50を作るという事で固まりましたが。

そっちの記事も明日うpするとおもいます。

なんか今回だけめっちゃ長くてごめんなさい!